今回はマイルチャンピオンシップでの有力馬の一頭であるトーセンスターダムについて考察してみたいと思う。
トーセンスターダムはデビュー後3戦目にしてきさらぎ賞(G?、京都芝1800m)を優勝し、無傷の3連勝を飾って一躍その名を広めた。しかし、華麗だったデビューの年とは打って変わって3歳時にはクラシック3冠レース全てに出走するも全てのレースで掲示板外に敗れるという結果に終わった。
3連勝後に挑んだ皐月賞(G?、中山2000m)では、イスラボニータやトゥザワールドに続く3番人気に推されるも11着と大敗した。1,2番人気の人気上位が連対を果たす中での惨敗は負け方が目立った。続く日本ダービー(G?、東京芝2400m)では逃げる展開で競馬を進め、直線では手応えがありそうに見えた。しかし最期は沈んで内ラチに接触してまたもや16着と大敗を喫した。やはりG?レースは荷が重かったのだろうかと囁かれる中、休養に充てた夏が過ぎていった。
復帰戦であった神戸新聞杯(G?、阪神芝2400m)は7着。続く最期の3冠である菊花賞(G?、京都芝3000m)では8着と秋も負けが続いた。
どんどんと勝利から遠のいていったが、12月に挑んだチャンレンジC(G?、阪神芝1800m)では直線で鋭い脚を伸ばして約10ヶ月ぶりに勝利し、重賞2勝目を挙げた。デビューから手綱を握る武豊騎手は「道中はいい感じで走らせることが出来ましたし、直線もいい感じで外に出せて、ようやくこの馬らしい走りが出来ました。元々能力の高い馬ですし、これをキッカケに来年は活躍して欲しいですね」と成長に期待した。
その後はオーストラリアに遠征し、ランヴェットS(G?、豪芝2000m)とクイーンエリザベスS(G?、豪芝2000m)で健闘するが、帰国後の宝塚記念(G?、阪神芝2000m)では12着とまた大敗した。宝塚記念は海外遠征帰りで疲れもあったかもしれないが、どちらにせよこれまでのレースを振り返ってみると好走しているのは2000m以下であることが分かる。そして実際ここから使われるレースは2000m以下になっていく。
2走前の毎日王冠(G?、東京芝1800m)では5着に敗れるが出遅れたにも関わらず最期の直線では後の天皇賞秋・2着馬のステファノスとの競り合いを制して勝馬と0.4秒差まで脚を伸ばしている。その後のカシオペアステークス(OP、京都芝1800m)では1.8倍という圧倒的1番人気に推され、その期待に応えて見事に優勝した。
やはりこの馬は1800mあたりの中距離以下の距離が適距離だと思われる。次走はマイル王者の決定戦であるマイルチャンピオンシップに出走予定だが、マイル戦は実は今回が初めてである。力が足りるかどうかなどの不安要素は確かにあるが、徐々に距離を短くしてきているこの馬にとってマイル戦が最適な距離である可能性はある。まだ返り咲く可能性は十分に秘めている馬なだけに注目しておきたい。今年のマイルチャンピオンシップは他にも有力馬が多数出走することから穴人気が予想されるので、馬券的に見ても非常に魅力的な1頭であると言えるだろう。